あて名変更届(代理人の住所変更)

知財情報

都落ちをして一番困ったことは、代理人の住所変更です。

国内案件は住所変更届を出せば一括で自動的にやってくれますが、これは国際出願(PCT)には適用されません。

そこで手引き書(実務者向け説明会で配っていた「特許協力条約(PCT)に基づく国際出願の手続」)を見てみますと、代理人のあて名の変更には、「あて名変更届」を提出して行うと書いてありました。

あて名変更届の様式を見てみると、国際特許出願1件ごとに作成するパターンのみが掲載されていました。

ん?弊所のような零細事務所なら1件ごとでも十分に作成できますが、どこぞの大事務所ではどうすんだろう。と完全に疑問に思ってしまいました。

そうなると調べずにはいられないのが心情でして(笑)

受理官庁である特許庁にダメ元で聞いてみたら、「そうですねぇ。一件一件出してもらうしか・・・。」との回答。そこですかさず「いやいやいや、めちゃめちゃ数があるんすよ~」等と大事務所ぶってみたところ、「なんかWIPOの方で一括で出すやり方もあるらしいですよ。」とほのめかしてくれました。やり方を聞いたのですが、そこは管轄外のようで。

WIPO、このブログでもたまに出てくる国際的な機関です。

もうWIPOに聞くっきゃない!以前電話で問い合わせをしたら日本人がいないとかいって英語でやんや言われた経験があるので今回はメールで質問(笑)

すると様式の「あて名変更届」の下や別紙に、他の国際出願番号も列記すれば対応するとのことでした。

ですので、まずは1件分の変更届を作成し、最後の方に欄を作って列記して作成しました。1件分の変更届には、一つの出願を特定しますので出願番号と出願人、そして変更対象である代理人(私)の旧住所と新住所、そして普通に代理人が手続きするので代理人の欄も設けました。

心配だったのでWIPOに見てくれーとドラフト送信したところ、「いやいやいや、出願人いらんよ。出願番号も1件抜き出さず、まとめて記載していいよ。電話番号は変わらないんすか?・・・」と、書き切れないほどのダメ出しが。

で、いろいろやって完成したのがこれです。

様式:あて名変更届(代理人事務所移転)

↑(後日追記)サーバーから消えてしまいました。。。

代理人の皆さん!住所変更したらこれ一通でOKです!

私は数が少ないので同じ紙にまとめましたが、案件の数が多い場合は「1 国際出願の表示」のところは「別紙の通り」として別紙に列記するそうです。

それから優先日から30月経過しているものは記録の変更が行われません。記録の変更を行わない出願については、記録の変更の通知(Form PCT/IB/306)が作成されず、記録の変更をしなかった旨の通知(Form PCT/IB/345)が作成されます。

それから手引き書の様式を見ただけでは見落としがちな電話番号とファックス番号の記載も忘れずに。

まとめますと、代理人のあて名変更はPCT規則92bisに基づく変更の記録の要請で行い、対象案件が複数ある場合は、国際事務局に対して一度の手続きで複数の案件について変更可能なマルチ92bis (Multiple Rule 92bis requests)の請求が可能。ただし、変更できるのは国際段階(優先日から30ヶ月以内)の案件に限られる。

以上、さらなる都落ちをしたときのための私の防備録でした(笑)

WIPOに直接出すんですけど「特許庁長官殿」はOKなんですよね。


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